英国で年収£100kを超えると、税金は懲罰的なレベルになる(実効税率60%ゾーンなど)。
ISA(年間£20k)もPension(年金)も埋めてしまった。
次はどうする? 税務署にむしり取られるのを待つか?
否。「攻めの節税」がある。それが「ベンチャー投資(Angel Investment)」だ。
「スタートアップ投資なんて、ギャンブルだろう?」
その通り。9割は潰れる。
だが、英国政府は「SEIS / EIS」という驚異的なセーフティネットを用意している。
これを使えば、投資した瞬間に投資額の30%〜50%が税金から戻ってくる。
さらに、投資先が倒産しても、その損失分をさらに税金から引ける。
つまり、「勝てば非課税(CGTフリー)、負けても税金で補填」という、投資家にとって有利すぎるルールなのだ。
今回は、クラウドファンディングを使ってこの恩恵を受ける手順を共有する。
制度の概要:SEISとEIS
対象となるのは、政府認定のスタートアップ企業だ。
1. SEIS (Seed Enterprise Investment Scheme)
- ステージ: 創業間もない超初期の企業。
- Income Tax Relief: 投資額の50%が還付される。
- 例:£1,000投資 → 確定申告で£500戻ってくる。実質コストは£500。
- Capital Gains Tax (CGT): 3年以上保有して利益が出れば、売却益は非課税。
2. EIS (Enterprise Investment Scheme)
- ステージ: 少し成長した初期〜中期企業。
- Income Tax Relief: 投資額の30%が還付される。
- 例:£1,000投資 → £300戻ってくる。
- CGT: 同様に非課税。
負けても勝つ:Loss Relief(損失救済)
ここが最強のハックだ。
もし投資したSEIS企業が倒産し、株価がゼロになったら?
- 投資: £1,000
- 初期還付: -£500(Income Tax Relief 50%)
- 実質リスク: £500
倒産時、この「実質リスク£500」に対して、さらに「Loss Relief」を申請できる。
君がAdditional Rate(45%)納税者なら、
£500 × 45% = £225 がさらに税金から戻ってくる。
- 最終的な損失: £1,000 – £500 – £225 = £275。
£1,000をドブに捨てたと思いきや、実際の懐の痛みは£275(27.5%)で済むのだ。
「アップサイドは無限大(非課税)、ダウンサイドは限定的」。これがこのゲームの正体だ。
実践:SeedrsとCrowdcube
「どうやって有望な企業を見つける?」
個人で探すのは無理だ。「Equity Crowdfunding(株式投資型クラファン)」を使え。
主要プラットフォーム
- Seedrs(シーダーズ):
- Nominee構造を採用しており、事務処理が楽。セカンダリーマーケット(途中売却)もある。
- Crowdcube(クラウドキューブ):
- MonzoやRevolutもかつてここで資金調達した。有名案件が多い。
投資の手順
- アカウント作成(UK居住者限定)。
- “Tax relief” フィルターで、「SEIS」または「EIS」のバッジがついた企業を探す。
- 事業計画(Pitch Deck)を読み、投資する(最低£10〜)。
- 数ヶ月後、「SEIS3 / EIS3 Certificate」というPDFが発行される。
- これをSelf Assessment(確定申告)で提出する。
リスクと注意点
うまい話には棘がある。
- 流動性リスク: 上場(IPO)するか、買収(M&A)されるまで、株は売れない。5年、10年塩漬けになる覚悟が必要だ。
- 全損リスク: 多くの企業は消える。税金でカバーされるとはいえ、£275は損をする。
- ポートフォリオ: 1社に賭けるな。10社、20社に分散投資せよ。1社でも「次のRevolut」になれば、他すべての損失をカバーして余りある利益が出る。
まとめ:税金を「未来」へ転送せよ
HMRCに税金を払っても、感謝状一枚届かない。
だが、その金をスタートアップに回せば、イノベーションの一部になれる。
- Seedrsに登録する。
- SEIS案件に分散投資する。
- 確定申告で半分取り返す。
もしその会社がユニコーンになれば、君は莫大な非課税資産を手にする。
ならなくても、英国経済を回したという満足感と、税金の還付が残る。
悪くない取引だ。


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